差分
このページの2つのバージョン間の差分を表示します。
両方とも前のリビジョン 前のリビジョン 次のリビジョン | 前のリビジョン | ||
start [2019/09/08 11:10] nazomizusouti |
start [2020/06/10 08:33] nazomizusouti [「仮処分申請」とは] |
||
---|---|---|---|
行 2: | 行 2: | ||
===== できごと ===== | ===== できごと ===== | ||
科学雑誌「[[https:// | 科学雑誌「[[https:// | ||
- | これは、「理科の探検」記事に不満を持った事業者が、裁判所に「仮処分申請」を行ったことが原因です。\\ | + | これは、「理科の探検」記事に不満を持った事業者が、裁判所に「仮処分申立」を行ったことが原因です。\\ |
- | 事業者から通報を受けたプロバイダは**「理科の探検」サイト全てを公開停止**にしました(< | + | 事業者から通報を受けたプロバイダは<color red>「理科の探検」サイト全てを公開停止</ |
科学的に検討されるべき課題に事業者が仮処分申請を行ったことには「特別な事情」を感じざるを得ません。\\ | 科学的に検討されるべき課題に事業者が仮処分申請を行ったことには「特別な事情」を感じざるを得ません。\\ | ||
行 14: | 行 14: | ||
===== 「理科の探検」とは ===== | ===== 「理科の探検」とは ===== | ||
理科の探検は2007年に創刊された科学雑誌で、科学教育の普及のためのマジメな記事が掲載されています。\\ | 理科の探検は2007年に創刊された科学雑誌で、科学教育の普及のためのマジメな記事が掲載されています。\\ | ||
- | この雑誌は年に一度「ニセ科学特集」を組んでおり、2019年4月号では「NMRパイプテクター」という磁気活水装置に批判的な記事を掲載しました。\\ | + | この雑誌は年に一度「ニセ科学特集」を組んでおり、2019年4月号では「NMRパイプテクター」という活水装置に批判的な記事を掲載しました。\\ |
記事では「装置の原理は現代科学の水準から実現不可能である」という科学的な指摘と、「消費者法で保護されないマンション管理組合に売り込む方法の不適切さ」という法的な指摘が記載されていました。 | 記事では「装置の原理は現代科学の水準から実現不可能である」という科学的な指摘と、「消費者法で保護されないマンション管理組合に売り込む方法の不適切さ」という法的な指摘が記載されていました。 | ||
行 32: | 行 32: | ||
なお、" | なお、" | ||
- | ===== 「仮処分申請」とは ===== | + | ===== 「仮処分申立」とは ===== |
「裁判が終わるのを待っていると権利の回復が困難になる場合に、一時的な措置を認める処分」のことです。\\ | 「裁判が終わるのを待っていると権利の回復が困難になる場合に、一時的な措置を認める処分」のことです。\\ | ||
例えば「貸した100万円を返せ」という裁判が結審まで1年かかったら、その間に100万円が使い果たされる可能性があります。このような場合に仮処分によって「100万円を引き出せないようにする」などの一時的措置を行うものだそうです(専門家ではないので用語間違いはご容赦を)。\\ | 例えば「貸した100万円を返せ」という裁判が結審まで1年かかったら、その間に100万円が使い果たされる可能性があります。このような場合に仮処分によって「100万円を引き出せないようにする」などの一時的措置を行うものだそうです(専門家ではないので用語間違いはご容赦を)。\\ | ||
行 48: | 行 48: | ||
そこで訴えられた側から本訴を促すことができるのが「起訴命令の申立」という手続きになっています。 | そこで訴えられた側から本訴を促すことができるのが「起訴命令の申立」という手続きになっています。 | ||
- | ここで問題になるのが、今回仮処分申請で訴えられたのが「記事を書いた著者」ではなく「インターネットプロバイダ」である点です。\\ | + | ここで問題になるのが、今回仮処分申立で訴えられたのが「記事を書いた著者」ではなく「インターネットプロバイダ」である点です。\\ |
プロバイダは「本訴」が起こされなくても全く困りません。\\ | プロバイダは「本訴」が起こされなくても全く困りません。\\ | ||
逆に「本訴」を起こされると、仮処分と合わせて2回の裁判に出席することになるので、労力的には「いつまでも仮処分のまま」の方がメリットがあると言えます。 | 逆に「本訴」を起こされると、仮処分と合わせて2回の裁判に出席することになるので、労力的には「いつまでも仮処分のまま」の方がメリットがあると言えます。 | ||
行 54: | 行 54: | ||
要するに、今回は「プロバイダ」を間に挟むことで、訴えた側は「公開停止」という処分を容易に得ることができましたが、裁判の当事者でない「理科の探検」側は本訴を求めることができない状態です。\\ | 要するに、今回は「プロバイダ」を間に挟むことで、訴えた側は「公開停止」という処分を容易に得ることができましたが、裁判の当事者でない「理科の探検」側は本訴を求めることができない状態です。\\ | ||
これは法のバグを突いた非常に上手な訴え方だと思います(褒めてない)。 | これは法のバグを突いた非常に上手な訴え方だと思います(褒めてない)。 | ||
- | |||
===== 「プロバイダ責任法」とは ===== | ===== 「プロバイダ責任法」とは ===== |