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nazomizusouti
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nazomizusouti
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 ===== 「仮処分申請」とは ===== ===== 「仮処分申請」とは =====
-「裁判が終わるのを待っていると、その間に権利の回復が困難になる場合に、暫定的措置を認める処分のことです。\\ +「裁判が終わるのを待っていると権利の回復が困難になる場合に、一時措置を認める処分のことです。\\ 
-例えば「貸した100万円を返せ」という裁判が結審まで1年かかったら、その間に100万円が使い果たされる可能性があります。このような場合に仮処分によって「100万円を引き出せないようにする」などの暫定的措置を行うものだそうです(専門家ではないので用語間違いはご容赦を)。\\+例えば「貸した100万円を返せ」という裁判が結審まで1年かかったら、その間に100万円が使い果たされる可能性があります。このような場合に仮処分によって「100万円を引き出せないようにする」などの一時的措置を行うものだそうです(専門家ではないので用語間違いはご容赦を)。\\
  
 詳しくは[[https://bengoshihoken-mikata.jp/archives/6191|弁護士費用の教科書]]サイトをご覧ください。 詳しくは[[https://bengoshihoken-mikata.jp/archives/6191|弁護士費用の教科書]]サイトをご覧ください。
  
 仮処分はあくまでも「仮」なので、民事訴訟などの「本訴」で処分を確定させる必要がありますが、この流れはなかなか複雑です。 仮処分はあくまでも「仮」なので、民事訴訟などの「本訴」で処分を確定させる必要がありますが、この流れはなかなか複雑です。
-  * 被害者は仮処分だけで本訴をしないことは可能 +  * 請求者は仮処分だけで本訴をしないことは可能 
-  * 被害者が本訴をしなくてもペナルティはない+  * 請求者が本訴をしなくてもペナルティはない
   * 訴えられた側は「起訴命令の申立」ができる(仮処分に従った後、いつまでも本訴されないと訴えられた側が困るから)   * 訴えられた側は「起訴命令の申立」ができる(仮処分に従った後、いつまでも本訴されないと訴えられた側が困るから)
-  * 申立をすると裁判所は被害者に「本訴を起こせ」と命令しなければならない+  * 「起訴命令の申立」があると裁判所は請求者に「本訴を起こせ」と命令しなければならない
   * 本訴を起こさなければ仮処分が取り消される   * 本訴を起こさなければ仮処分が取り消される
  
-先ほどの例え話のように「100万円は引き出してはならない」という仮処分が出たとします。しかし、「100万円を貸したという事実がなかった」場合には、訴えられた側はいつまでも「自分のお金を引き出せない」という不都合が生じてしまいます。\\ +先ほどの例え話のように「100万円は引き出してはならない」という仮処分が出たとします。し「100万円を貸した事実がなく」「請求者が本訴を行わなかった」場合には、いつまでたっても「自分のお金を引き出せない」という不都合が生じてしまいます。\\
-本来なら「本訴」によって「100万円の所有者」を確定させないといけないのですが、本訴は被害者側が起こすものなので、いつまでも「仮」のままという状態が生じてしまうのです。\\+
 そこで訴えられた側から本訴を促すことができるのが「起訴命令の申立」という手続きになっています。 そこで訴えられた側から本訴を促すことができるのが「起訴命令の申立」という手続きになっています。
  
 ここで問題になるのが、今回仮処分申請で訴えられたのが「記事を書いた著者」ではなく「インターネットプロバイダ」である点です。\\ ここで問題になるのが、今回仮処分申請で訴えられたのが「記事を書いた著者」ではなく「インターネットプロバイダ」である点です。\\
-プロバイダは記事を公開停止にした時点で責任を果たしているので「本訴」が起こされなくても全く困りません。\\ +プロバイダは「本訴」が起こされなくても全く困りません。\\ 
-逆に「本訴」を起こされると、仮処分と合わせて2回の裁判に出席することになるので、金銭的には「いつまでも仮処分のまま」の方がメリットがあると言えます。+逆に「本訴」を起こされると、仮処分と合わせて2回の裁判に出席することになるので、労力的には「いつまでも仮処分のまま」の方がメリットがあると言えます。
  
-要するに、今回は「プロバイダ」を間に挟むことで、事業者は「公開停止」という処分を容易に得ることができましたが、「理科の探検」側本訴によって権利侵害がないことてもらうのは難しいと言わざを得ません。\\+要するに、今回は「プロバイダ」を間に挟むことで、訴えた側は「公開停止」という処分を容易に得ることができましたが、裁判の当事者でない「理科の探検」側本訴をめることができない状態です。\\
 これは法のバグを突いた非常に上手な訴え方だと思います(褒めてない)。 これは法のバグを突いた非常に上手な訴え方だと思います(褒めてない)。
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 (特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)\\ (特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)\\
 従来のインターネット上のトラブルでは、通信事業者が記事を削除しないと被害者から訴訟を受ける恐れがあり、逆に記事を削除すると発信者から権利の侵害で訴えられるという危惧がありました。\\ 従来のインターネット上のトラブルでは、通信事業者が記事を削除しないと被害者から訴訟を受ける恐れがあり、逆に記事を削除すると発信者から権利の侵害で訴えられるという危惧がありました。\\
-プロバイダ責任法は、一定の要件を満たした削除は民事上の責任が制限されるというものです。+プロバイダ責任法は、一定の要件を満たした削除は民事上の責任を免れるというものです。
  
 詳しくは[[http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2019/08/post-fbcdc6.html|町村先生のブログ]]や[[https://itbengo-pro.com/columns/83|IT弁護士ナビ]]をご覧ください。 詳しくは[[http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2019/08/post-fbcdc6.html|町村先生のブログ]]や[[https://itbengo-pro.com/columns/83|IT弁護士ナビ]]をご覧ください。