予備知識

1990年代より発売されている「水道管内部の赤サビを解消する」とされる装置です。
マンション・一般家庭向に販売されており、全国の鉄道に広告を掲出しているため目にしたことのある方も多いでしょう。

地下鉄車内で撮影した広告写真

古い型の水道管は水と鉄管が接触する構造になっており、概ね30年ほどで更生工事が必要です。
工事は高額・長期化するもので、マンション住民にとって大きな負担となっています。
しかしNMRパイプテクターを使うと、ほとんどの不都合が解消されるそうです。

  1. 施工費用が安い。従来工法の1/5〜1/10の価格
  2. 維持費用が不要。メンテナンスも電源も不要で40年間以上も水配管を延命する
  3. 設置工事が簡単。配管の周りに巻きつけるだけなので断水も発生せず、工事は2時間で終わる
  4. 配管の種類が不問。亜鉛めっき管やライニング管でも使用可能

NMRパイプテクターの販売が開始された直後から疑問の声が聞かれる。
特に、大学研究者からの技術的な質問に答えずに、逆に法的措置をほのめかすなど、科学的な検証を避けている様子が見られます。

装置の重要部分の図版を抽出した。
「21 黒体放射焼結体」が無電源でマイクロ波を発生するとされる機構、「22 電磁波収束体」がマイクロ波をレーザー状に収束させる機構とされています。
もし、そのような物体が実在するなら「永久機関」そのものではないでしょうか?

特許文章からの抜粋(彩色は筆者)

実機の分解結果を紹介する。
同型の筐体(仮にA体、B体とする)で水道管を挟み込む構造になっていることや、筐体に補填材と円筒形物体が入っていることは特許の通り。
この円筒形物体が特許の「流体活性体」に対応します。特許の通りなら、ここから無電源でマイクロ波を放出し続けていることになります。
一方で、円筒形物体に構造は見られず、有意な電磁波も観測できなかった(磁石以外の何物でもなかった)との報告があります。
業者側が出演されるとのことなので「円筒形物体から電磁波が出ているのか? どのように測定したのか?」という1点だけは明らかにしていただきたい。

実機を参考に作図した

業者側によると「全国一律価格で、20年以上も変更がない」「ステンレス筐体を外注し、組み付けを本社ビル内で行なっている」とのこと。

ウェブサイト「けんせつプラザ」より引用