浦安市議会(4)

千葉県浦安市議会の3月議会において4回目のNMRパイプテクターに対する一般質問が行われました
当初は2020年秋の導入が計画されていましたが、9月議会で市長から「経過観察」との答弁があり、その後に導入見送りという話になっていました。
しかし予算が繰り越されているため、購入時期を先送りしただけではないかと市側が追求を受けているものです。
浦安市の令和2年第4回定例会の会期中の2021年3月4日(木)13:35から質疑応答が行われました。

議員質問

パイプテクターの文化会館への導入。
これは私は、もう色々と議会で何度も取り上げてきたし、問題があると指摘させていただいたので、この議会では補正〜、要するにしないという形で計上されるのかなと思っていたんですけれど。
繰越になったんですけど。繰越にした理由をまず教えてください。

生涯学習部長

はい、えー、文化会館へ導入に、あ、文化会館へのNMRパイプテクター導入につきましては、文化会館および市民プラザでの水質検査等を引き続き実施し、その経過を見定めつつ、えー、学術研究の発表を待って判断するため繰越としたものです。

議員質問

引き続きまだ検査すると、それはあの、昨年9月の議場で、あのー、市長が、あの、ご答弁、文化会館での実証実験及び市民プラザ設置後の水質検査等に今少し時間をかけてその後経過観察をしてまいりたいと、こういう答弁の、があるからだろうと思うんですけれども、経過観察、何回かしましたよね、この間。12月とか1月。

高い数値でてますよね? 予期せぬ高い数値。それについては、だからもう結果出てるんじゃないですか? 結果が。
これまでダラダラと、要するになんのために経過観察するかというと、もう市民プラザはもう入っちゃってて、契約も終わっちゃってる訳ですよね。
文化会館のためにそれを契約するかどうかって言うところで、いまそういう足踏み状態になったと思うんですけれども。
文化会館に対しては、そんなに高い数値は出てないけど、市民プラザの方は結構、たとえば1月7日、今年の1月7日ですよ、あの、5.9mgと、6.0mgというね、びっくりするような数値出てます。
要するに安定してない、この機械を付けても。
それで、うえ、あのー、市民プラザの方はちょうど付けて1年ですよ。
なんであそこで、こんな検・・あの、実験するんですかと言うね。
それも理由がわからないんですけれども。
それで、この1月7日の実験結果。市から開示請求で取り寄せてわかってるんですけれども、5.9とか6出てる。これは、要するに、あちらさんの、この事業者の説明によると赤錆沈殿物が多量に目に見えた訳です。これだけの数値が出てるっていうことは。
あの事業者さんが市側に出してきました30年8月8日の、文化会館の効果・検証結果報告書というのがありますよね。そこに、こう言うことが書かれています。
排水ボトルの底には赤錆の沈殿物が大量に見られ、これはビフォーですね。あの設置する前です。
その水中の全鉄値は4.6ですよ。mg/lと多量に溶出しており、配管内の赤錆腐食が大変進行していると。4.6だと、ね、4.6の数値だったんですよ。あの、文化会館ですよ。
それは、赤錆腐食が大変進行している状態だと、それで、文化会館に付けたなら
(時間切れで終了:質疑時間4分10秒)

装置の取付先と検査値

今回の質疑で複雑なのは、この装置を取り付けた施設は「市民プラザ」「文化会館」の2箇所という点だろう。

  • 市民プラザ : 装置設置済、代金支払済、設置から13ヶ月経過
  • 文化会館  : 装置設置済、代金支払い「前」、設置から34ヶ月経過
一般に空調配管の水の鉄分量は1.0mg/l以下が基準とされている。
業者の「検査」によると、装置の設置前の市民プラザは14mg/l、市民会館は4.6mg/lと基準値を満たさなかったとされている。
装置の導入後の報告書によると「鉄分値が基準を満たした(効果あり)」となっており、通常ならここで質疑が終わっていたかもしれない。
しかし、9月議会を受けて複数回の経過観察を行なったところ、市民プラザの鉄分値が5.9mg/lとなり基準を満たしていなかったという経緯になっている。

市民プラザは初期値が14mg/lなので、5.9mg/lでも値が下がったと言えなくはない。しかし業者は、もう一つの取り付け先である文化会館に対しては4.6mg/lを「赤錆腐食が大変進行」と報告している。
この理屈で言えば、市民プラザは「腐食が進行し、対策が必要な状態」ということにならないだろうか?
業者は他の多くの施設で「数週間で改善した」と宣伝しているが、浦安市への設置から1年が経過しても基準値を満たさないのは宣伝からかけ離れてると言わざるを得ない。目先の鉄分値半減では導入理由にならないだろう。

動作原理が未検証

市側は「学術研究の発表を待って判断」というが、発表を待つと言うことはすなわち「現時点では動作原理が未検証の装置」ということになる。
学術研究と言うからには、装置自体の動作原理や効果を定量的、定性的に検討すると言うことだろう。しかしそれは、製品として販売する前に行うべきことではないだろうか。この製品が20年以上も販売されていながら、市議会の追求を受けてようやく「研究している」では、業者は根拠のない装置を販売したとの批判を免れない。

また、学術研究と、浦安市の実地試験は分けて考えられるべきだろう。
仮に「動作原理が確認された」となったとしても、浦安市施設という個別の条件下で実際に効果が得られるかは別問題だからである。
実地試験の測定値が安定しておらず、業者の宣伝にある「1ヶ月で効果」とはかけ離れた現状となっている。また、市民プラザで効果ありと認める基準は、通常の水質基準の1.0mg/lよりも遥か上に設定されているという話も聞く。
これは「水質基準を満たすとの宣伝で購入したが、水質基準を満たさなくても返品できない」という事だろうか。市の物品購入としては不自然極まりない。

効果の不確実な装置であっても個人が買うのは自由だ。しかし行政機関が「原理の不明な装置」を購入し、「水質が変化はしたが基準値を満たさず」「原理の立証は、出るかどうかわからない論文を待て」ということは許されるべきではないだろう。