浦安市議会(1)

千葉県浦安市議会にてNMRパイプテクターに懐疑的な質問が提出されました。 これは「一般質問」といい、市政全般に関して議員が現状を質問するものです。質問は事前に通告され、市職員が回答を準備し、議場で質疑応答が行われます。

市民から相談を受けた市議(16年目)が、市の施設に磁気活水器が設置されることを知り、「効果に懐疑的な立場」から導入の経緯を質問したと言うことのようです。 浦安市の令和2年第2回定例会の会期中の2020年6月25日(木)11:15から質疑応答が行われました。

浦安市議会のサイトより引用(彩色は筆者)

議員

給水管とか空調管内の赤錆の劣化を防止するために、管の外側に半円形の器具を付けると、そして中のサビを防いで管の寿命を延命化する。だそうです。
そしてすでに浦安市ではWaveに導入済みだと聞きました。また本年度は文化会館に導入だと聞いております。
この装置というのは色々べてみるとかなり議論が巻き起こっておりました。ネットで調べて驚いたわけです。
そしてお伺いいたします。
細目1:導入の経緯
社会的にかなり問題視されているパイプテクターを、これを浦安市はもう既に導入したが、導入の段階で問題をどのように把握していたのでしょう。
細目2:今後の方針
令和2年の予算に計上されておりますが、これは文化会館への導入を計画しているようですけれど、導入の予定・日程・入札どのようにしたのでしょうか?お示しください。

実機を参考に作図

生涯学習部長

導入の経緯について
細目1として浦安市は導入した経緯および問題をどのように認識していたかとのお尋ねです。
パイプテクターの導入についてはこれまでの実績や導入効果、コスト面から有効であると判断し、導入を決めたもので、社会問題となっている認識はございません。

つづきまして細目2
今後の方針について。
現在、文化会館のパイプテター導入につきましては、契約に向け事務手続きを進めており、秋頃までに導入したいと考えております。
以上です。

浦安市議会のサイトより引用(筆者により人物ブラー)

議員

パイプテクターの問題について行きます。
導入したときですよ、これが問題になっているという、それは認識されてたんですか?
それは事実として色んなこと言われていると、でも、この事業者さんの提案内容を信用したというか、こっちの方が正しいと判断したのか?
それとも市側は、この事業、要するにWaveに入れる時の話ですよね。その段階ではあまりそういう情報はなくて、データとして業者さんが出されてきた資料等で「ああ、いいな」という判断をなされたのか、どちらですか?

浦安市議会のサイトより引用(筆者により人物ブラー)

生涯学習部長

はい。えー、パイプテクターの導入にあたりましては、まず最初に、議員のご質問のネット上で出ている情報は承知しておりました。
その中で、平成29年(2017年)に営業がありまして、その実態を調べる中で相手方からぜひ浦安市の施設の中で何か実証実験的なことをさせていただいて、その効果が現れるということでご判断いただければ、その後の導入について検討していただければという営業がありました。
それで、文化会館において実証実験をやった結果、非常に良い結果が出ましたので、導入を決めたものです。以上です。

議員

あのー、29年(2017年)に営業があったと。先方さんから。
その当時は、私、今回の一般質問をするにあたってTVを見ておいてくださいとお願いしてますよね。見ていただけましたよね?
昨日も担当者に確認したら見たと言って下さったんですけれど。
TVを、まあ、なんのテレビかというと「田村淳の訊きたい放題」という、去年の11月23日に放映したものです。これは29年(2017年)の営業時はこの番組なかったです。昨年の放映ですから。
放映を見て、この映像を見て、動画を見て、たくさん疑問を感じませんでしたか?
というのは、私はこれ、たくさんの方に、議員さん全員に見て欲しいんですけれど。
田村淳さんの訊きたい放題というのは、どういう番組かというと、この、パイプテクターですか、NMRパイプテテクターを勧めている会社の社長さんと、「いやそれはちょっと問題じゃあないか」というね、いわゆる学者の先生とのすごいバトルの番組なんですよ。
ここまで激しくバトルするのというぐらいね、アナウンサーの女の子なんかちょっとビビっちゃっているというね、すごい激しい論争をしているんですよ。

それで、わたしあの番組全部自分でテープ起こししました。
テレビ見ているだけだと専門用語もあるし。ちょっと、理解・・私の能力ではわかんないところもあったので、全部文字起こしして、全部追っていきました。
本当に、答えていない、部分ありますよね。
あの番組を見ていただいて、どのような感想を持ちましたか?まずお答えください。

生涯学習部長

えー、議員よりありましたTVにつきましてはネット上で拝見をいたしました。
実際、社長等の会話も逐次聞きましたけれども、えー、まあ、あのー、見る方によっては、えー、どうなのかという疑問符を持たれるような番組だったかとは思いますが、実体として私どもは、導入実績、導入効果、検証した上で導入を決めたものです。

議員

あの、検証とおっしゃいましたけれど、文化会館での検証ですよね?
文化会館のお水を使って。
確認です。その、話ですよね?検証って。

生涯学習部長

えー、先ほど答弁いたしましたように、文化会館で検証したものです。

議員

それは、30年(2018年)の5月14日。この装置を入れる前、いわゆるビフォアの問題ですよね。そして、同じく30年の6月25日に約1ヶ月ちょっとして、このものを設置したようです。日にちを追っていくと。
その次の7月24日、30年(2018年)の7月24日ですね。設置してから約1ヶ月後に検査してます。
最初、ビフォアに検査したのは30年5月14日、このときは4.6mg/L。出てたと、サビが。それで、パイプテクターを設置して、1ヶ月後に0.4になったって言うんですよね。
非常に好成績というか、出ているわけですよ。
で、これを、この数字を見た時、「すごい、てき面に効果があるんだな」というね。単純に思うわけですよ。
それで先ほど私が紹介したTV番組の中で、あるマンションの所で、本来つけるべき管のところにつけないで、間違ってミスっちゃった事例が出ていましたよね。
「あれ、おかしいじゃないか」って言うことで、そしたら社長さんは「もっと長いスパンで見てくれ」と、「1年ぐらいじゃなくて10年ぐらいどうのこうの」って言うね。
ところが浦安の場合は1ヶ月で出ていると、好成績が。
それっておかしい、本当に信じられるのかどうか。つまり、こういうのを導入するときは、これだけテレビでも取り上げられているものを、市民の税金を使って購入するわけですから、もう一回第三者機関。こんな業者さんが行なった調査・検査じゃなくて、第三者機関を通してやるべきではないかと思うんですけれど、いかがですか? それからでも遅くはないんじゃないでしょうか?

浦安市資料から作図

生涯学習部長

はい。えー、調査機関は第三者機関です。えー、公益財団法人に出しております。
配送も、えー、市の職員が現地で立ち会って、そのまま密封し、そこの会社に、えー、宅配便で出しておりますので、守られていると思っております。

議長

時間です。

活水器に対して議員が猜疑を持ったことは十分に納得できる。
販売業者が「結果が出るまで10年見て欲しい」と発言しているのに、わずか4週間で劇的に鉄分値が改善したという結果には、何らかの「特殊な状況」が発生した可能性を指摘したい。
(非接触かつ無電源の装置でこれだけの変化が起きるなら、現代物理学が根底から覆されるほどの大発見であるが、業者は実験や理論構築も行っていないと発言している)

一方で行政側の回答は「他でも使っている(採用実績)」というだけなので、「被害者ネットワークに取り込まれた」可能性を排除できていない。
「第三者機関が効果を確認」とも発言しているが、業者が採水を行っているのだから、測定サンプルそのものが信頼できない。
生涯学習部長の答弁は数千万円の予算を支出する立場として、あまりに無責任である。

販売業者は「実証実験」の名を借りて行政の懐に潜り込み、特殊な「結果」を持って入札によらない販売契約にこぎつけている。
一般消費者に対して行われれば直ちに「催眠商法」が疑われる販売方法であるが、「行政対事業者」という枠組みの中で警戒心が麻痺してしまったのではないだろうか。
昨今は疑似科学商品が「寄付」と称して行政に入り込み、「利用実績」として宣伝に用いるケースが増えている。
安易な「人対人」「科学的に見える手法」に惑わされず、サイエンスの視点で判断できる人材が本件に介入することを期待したい。

本件を看過すれば、本年秋には磁気装置が浦安に導入され、市民の貴重な税金が奪われるばかりか、疑似科学業者に「宣伝」と「利益」を供与する事態になりかねない。
少なくとも「取水時点に遡った効果確認」が実施されるべきであろう。