浦安市議会(6)

千葉県浦安市の9月議会において6回目のNMRパイプテクターに対する一般質問が行われました(2021年9月22日)
本件では「装置に科学的根拠があるのか」が争点になっています。 昨年12月議会で「研究しているという大学名を聞き出してください」と議員から質問があったものの、その後の3月議会、6月議会でも市側の回答はありませんでした。
本年6月議会では議員から再質問があり、市側は「現在確認を行なっている」と答弁していました。

議員

件名1:パイプテクター取扱について。 要旨1:照会に対する市の対応について、細目:市の結論」
昨年6月議会以来、議会があるたびに取り上げてきました。
私の主張は、日本システム企画株式会社社長が、TV番組の中で「理屈はですね、証明がですね、これから色んな大学で、いま研究していますから」と述べているように、いまだ理屈が証明されていない。そして複数の学者の方が異を唱えているものを税金で購入することへの単純な疑問です。

今年6月議会で取り上げた後、市がどのような対応をしているのかを調べました。
7月2日に社長さんに来ていただき、ヒアリングをしていたことがわかりました。約2時間にわたり教育長はじめ担当職員さんが立ち会いました。
このヒアリングで市側は納得できなかったようで、7月5日付で5項目にわたる照会状を出しました。

回答が来ましたが、照会内容に対する回答が得られませんでした、とのことで7月16日に再照会を行いました。この再照会文には
「この照会は貴職が令和元年11月23日に放送されたTOKYO MX『田村淳の訊きたい放題!』にて、NMRパイプテクターの『理屈や証明はいろんな大学で研究している』と発言されましたことを確認するものです」
と照会理由も記載してあります。
5項目とは、学術論文の主著書および共著者の氏名・所属。学術研究している大学名。大学及び研究室名。研究者の氏名。学術論文を発表する学会名・時期等々です。
送られてきた8月2日付の再照会の回答では
「論文が公開になった際に報告する。本年10月ごろの論文提出を予定しておりますが、発表の時期は当社で決定するものではありません」
つまり市にいつ報告が来るかは未定というものでした。
そこでお伺いしたします。 この回答を受けて現時点での市の考えをお示しください。

市長

広瀬明子議員の一般質問にお答えいたします。
えー、私の方からは、あー「件名1パイプテクターの取扱について。 要旨1:照会に対する市の対応について、細目:市の結論について」

え、NMRパイプテクターの、おー、7月16日、えー、照会文を出して8月2日にその回答をもらって、ただ、その、おー、内容を受けて市は今後どうするのかというようなお尋ねでございます。
えー、NMRパイプテクターの文化会館への導入につきましては、文化会館および市民プラザでの水質検査により、継続した効果を確認するとともに、えー、大学での学術研究の発表により科学的根拠を確認した上で判断することと、おー、してまいりました。
えー、水質検査では良好な数値が確認されましたが、学術研究についてはこれまで数回にわたりメーカーに、えー、大学名や、えー、研究者などの情報や、また公表されるタイミングを、おー、聴取してまいりましたが、明確な、あー、回答を得られてはおりません。

えー、こうしたことから、最終的に文書により照会を行なったものの、依然として具体的な内容は示されず、えー、10月ごろに学会に論文を提出する予定であるという、そういったことのみの回答でございました。
えー、こういったことを受けまして、市といたしましては、契約手続きや法規などを勘案すると、えー、近々に、えー、研究論文が発表され、それにより科学的根拠の確認。これがができなければ、今回の導入は難しいと、おー、考えており、えー、メーカーにはその旨を伝えているところでございます

議員

パイプテクターの問題ですけれども、先程の市長のご答弁ありがとうございました。
近々の結果が出ない場合という、近々って大体、たしかそういう表現されたと思うんですけど、大体どれぐらいを?
というのはもう、8月の、あのー、段階で8月2日付けで再照会、2回目の照会をしていて、そこで10月ごろの論文提出を予定しているけれども、発表の時期は、どこが決めるのか知りませんけれど、当社では決定できないと。そうすると発表がいつになるかわからないということをキチッと言ってきているんですけれど、その場合の市のお考えというのはどういうことでしょうか?

市長

えー、先ほど私の方から答弁させていただきましたが、えー、近々、まあ、10月ごろまでに、えー、研究論文が発表されるというようなことが言われておりますので、その、おー、えー・・・・研究論文が発表される、ま、10月というようなことが向こうの方からも言われているようでございますので、そこら辺まではきちんと待つと言いますか、その発表を受けて、えー、科学的根拠が確認できなければ今回の導入は見送るということを、契約手続きや工期の件などがありますので、そういうことを相手方にお伝えしているという状況でございます。

議員

はい、理解できました。ここは当初5月、今年の5月に、まあ、公表できるんだということを市側に回答している。それが伸びて今度は10月になってしまったと。まあ、それも10月に伸びたとしても、公表するかどうかは、どこが、どこの機関がやるかは全くこれは分らないというので、ちょっと要注意だなと思います。

メーカー社長へのヒアリング

今回の質疑ではメーカー社長が浦安市に呼び出されていたことが明かされました。
昨年12月議会での「共同研究先の開示」という質問を受けて、メーカー側は5月ごろの論文発表を回答していたようです。
これが実現されなかったため、6月22日の議会では「議員:いつ報告が出るのか?」「市長:回答を待っているという状況」という押し問答になってしまいました。このときは「一定の答弁が出ている」として質問が打ち切られてしまいましたが、市側も対応の重要性を認識したのでしょう。
7月2日にメーカー社長を浦安市に招いてヒアリングが行われています。しかし、2時間に及ぶ会議も要領を得ず、7月5日に市側は文章での回答を要求。
これに対しメーカーからの回答は要領を得ず、7月16日に再照会したところ8月2日になって「10月に論文を提出するが、どの大学がどの機関に提出するかは言えない。いつ公表されるかもわからない」という回答が来ていたようです。

市側の対応

昨年12月以来動きのなかった「科学的根拠」が急に進展したように見えます。
「メーカー社長を市に招く」「口頭では要領を得なかったので文章で回答を求める」「回答が来ないので直ちに再照会する」など、かなり強い姿勢が伺えます。
しかし、その後「10月の論文提出」という話で「待ちの姿勢」になってしまったことは、行政の対応の限界を感じます。
そもそもメーカーは「科学的な装置である」と宣伝していたのですから、市側は「販売時点で根拠を持っていなければ、虚偽の説明で販売した」と判断しても良さそうなものです。
実際、景品表示法では「合理的な根拠資料の提出を求め、15日以内に提出されない場合は不当表示」とされています。
15日以内は厳しいにしても、9ヶ月以上が経過してなお「これから論文を提出します」ででは、「現時点では合理的な根拠がない」と判断するべきでしょう。