浦安市議会(12)

千葉県浦安市の令和5年第1回定例会において防錆装置(NMRパイプテクター)に対する12回目の一般質問が行われました(2023年3月15日(水))。

追及側の市議が任期満了のため、質疑応答よりも質問数を重視した質問になっていたようです。質疑を聞く限りでは4月の市議会議員選挙に出馬されるようですので、本件質問が継続することを期待します。

これまでの経緯は次のとおりです。

  • 浦安市は「文化会館」と「市民プラザ(ウェーブ101)」の2箇所でNMRパイプテクターを導入した
  • 「文化会館」では実証実験と称して設置済だが支払前だった
  • 市はメーカーに「科学的根拠」を求めたが提出されなかった
  • 市はNMRパイプテクターの購入予算を執行しないことにした(導入撤回)
  • 「市民プラザ」では設置済・支払済だった
  • 「科学的根拠がない」ものを設置していることに問題はないのか、議会で質問中

議員

次に件名3パイプテクターについてです。
「文化会館導入見送り経緯見送り」
「見送り理由水質検査結果についての市の見解」
見送り理由というのは令和3年の12月17日の議会答弁で契約に当たっては科学的根拠が必要なんだ、と。
でもその科学的根拠になるものを何度要求しても出していただかなかった。だから契約には至らなかったと理解して間違いない。ですよね。
確認ですここは。

生涯学習部長

文化会館へのNMRパイプテクターの設置を見送った理由につきましては、科学的根拠の確認のため事業者に対し3回にわたって大学の学術論文等の照会を求めましたが提出されず、令和4年3月31日をもって実証試験が終了したことによって装置を撤去したということになります。
以上です

議員

はいわかりました。大変大事なことを確認させていただきました。
次に水質検査結果についての市の見解ですね。
これは令和3年9月22日、市長発言の中に「水質検査では良効な数値が確認されましたが」とおっしゃっているんですけれども。確かその後だったと思うんです動画で水質検査にトリックがある、ということが分かったというか、動画が配信されております。
こういうことが動画を見ても、今でも出てきた数字は良効な数値であるとの認識をお持ちなのでしょうか?
答弁をお願いいたします

生涯学習部長

文科会館の水質検査の数値につきましては、NMRパイプテクター設置後の検査数値が設置前より下回っている結果が出ておりまして、良効である。と認識しております
以上です

議員

はいわかりました。この見解は変わらない。ということですね。
それでは。令和3年の12月17日の市の答弁です。
議会答弁で設置後の目標値ですね、これは「鉄1リットルあたり1ミリグラム以下」との記載が一般社団法人日本冷凍空調工業会のガイドラインに書かれていると。
これを設置後の目標とする。市側ですよこれは。今でも変わらないと見てよろしいんでしょうか?

生涯学習部長

水1リットルあたり鉄1ミリグラム以下という冷水温水の水質基準値につきましては令和3年12月の定例会でもお答えしましたとおり、先ほど議員の方からも言われました一般社団法人日本冷凍空調工業会のガイドラインに冷凍空調設備機器の性能効率及び寿命の保持低下の防止を目的に冷水温水の水質検査の基準として記載されたということで、そのとおりというふうに認識しております。

議員

そうしますと、これちゃんと通告してありますけれども。この会社のホームページでこれは浦安市民プラザ、ずっとこの間私が問題にしてきているあそこで数値結果というのが公開されております。
ホームページに貼られております。今朝も確認しました。それは令和2年1月30日から設置24か月後の令和4年2月15日まで合計9回。
これ平均値を出すとすごいここは揺れ動いていて1.655が出ているんですよね。
確かに0.4とか0.6になっているときもあるし多いときは5.9, 2.2とかある。
やはりこういうのというのは。科学的データというのは、私、前から言っていますように1回の検査ではあり得ない。
だからbeforeは1回しかやっていないのが問題ですよと。言っているんですけれどもそれはそれとしてafterこれは9回やっていて1.655が出ているというのは、まだこの目標値というんですか、に到達していないと理解してよろしいんでしょうか。

生涯学習部長

まず設置前の全鉄値はリッター当り14という数字が出ております。
その後設置3か月後には0.8と、6か月後には1.3と、数字はぶれておりますが、数字の変化はありますが高い数字になっているところは長期の休館期間が行った後に高い数字も出ておりまして、現在一番新しい数字としては0.6というふうになっておりますので、数字は下回っているというふうに判断しております。
以上です

議員

現在直近のが0.4だ0.6だから、市はこれをクリアしていると解釈する。ということなわけですね
だいたい設置からどれくらい見て。1以下になればいいとそれでは市は考えているんですか?
この数値になったのは設置13か月後ですよね13か月後。
文化会館の方は浦安は導入していないですけれども文化会館の方は設置後2、3か月もう半年ぐらいで結構いい数値、あちらさんが言うところの、いい数値ですよ、が出たんですけ れどもこれは13か月後に11か月後は1.8出ている。
1超えているということは市側は13か月だから1年以上ちょっと。じっと我慢しましょうと1年以上1年ぐらい経って1以下になれば。いいよというそういう認識ということですか。

生涯学習部長

先ほど申しましたように設置後、すぐで0.8という数値にはなっております。
こちらの製品について商品保証という形が10年間というふうになっております。
2年ごとに水質の検査をしていくということになっておりますので、まず24か月後の0.6ということはその数値が下がってきたと。
また引き続きその数値については注視していきたいというふうに考えております。

議員

分かりました数値の問題はもう今回。これで結構です。 要旨2 「ウェーブ・・・市民プラザの性能証明文化会館導入見送りと整合性」
文化会館に入れなかったのは一生懸命水質検査してあちらさんがいい。そして市も認めたいい数値が出たと、でも入れなかった。
理由というのは先ほど大前提で確認しましたように、科学的根拠が証明されていない。
こちらは文化会館じゃなくてウェーブの方は科学的根拠。証明されているんですか?
確認です。

生涯学習部長

ウェーブを導入した理由としましては。実証試験の中で数値が安定してきているというところ。また導入するに当たっては他自治体、他団体に多くの導入されているというようなことを総合的に踏まえまして当時導入するということを判断したものです。

議員

確かに他団体と実際視察に職員さん何人かで複数名で行った後はそれは確認しているんですけれども。
他の団体視察に行っていいなと思ったところは浦安みたく科学的根拠を要求していた団体ですか?
その科学的根拠を要求して、行ったところは持っている。数値だけではなくて持っているだから容認したんですか。
それともそういうものはどこも持っていない浦安みたくしつこくこういうものを要求したところはない。数値だけ良かった。そういう意味ですか?

私が知る限りでは科学的根拠なんか要求している自治体ないですよ。私が調べた限りではないです。
浦安だからここまでしっかり2年間頑張って3回にもわたって出してください出してくださいと迫って。
結局それがないものは証明できないからという形で導入を見送った。
私が言いたいのはウェーブにも違う機種を入れて違う機械を入れているというのなら話はまた別ですよ。
同じ原理のものを入れているんですよね?サイズは違うけど。値段は違うけど。
したら、こっちは文化会館の方で要求したものは当然こっちにも要求すべきなんですよ。市民のお金で買っているんだから。
こっちのだから要求しているんですか。こっちはあるんですか科学的証明?
してくれるものが出ているんですか。あるいは今まで要求したことはあるんですか?
ウェーブについて。それだけお答えください

生涯学習部長

少し整理させてください。
市民プラザ、ウェーブに入れる前は、文化会館で実証実験をして数値も確認しておっしゃったように他の自治体の状況も導入状況も見ながら入れることを決めた。判断したんですね。
その状況、他市の状況でその科学的根拠があったか確認しているかどうかというのは、確認しておりません。

その導入状況によって、そして入れるべきであろうというふうに判断したんですね。
その当時はその科学的根拠が云々という形の情報は市として掴んでなかった。
でも実態として数値が減っている。他の自治体でも導入事例もたくさんあるというところで導入させていただいた。
その後、文化会館に導入するというようなことになったときに議会の方から様々なご意見をいただきながら、科学的根拠そういうものも必要ではないかというところもありまして、先方の方にそういう科学的根拠あるのかとしたら、先方の方からありますと。
じゃあそれが出るまで導入するのはやめましょうという形で先ほど答弁しましたけれど、も、3度要求しましたけれども出てこなかった。
なので実証試験の期間も終わった。
なので取り外したというところが一連の流れです。

当初の市民プラザの導入にあたって何か間違いが、誤り的なものがあったかというと、決してそういうことではないというふうに認識しております。 以上です

議員

市民プラザにいるときは誤りなかったんですよ。こんな問題ってあるって誰も気づいていなかったんだから。
たまたま私が2年前の6月。議会から取り上げて、わーっと出てきて、市も気づいたわけじゃないですか。
科学的根拠が必要なんだと、文化会館で導入には必要なんだと。数値は満たしているけれども。
文化会館ですよ。市の言い分はね。
数値は満たしているけれどももうプラスワン必要なんだと。

私が言いたいのは。遡ってそこは・・・ウェーブの方、市民プラザの方、気がつかなかったけど今気がついたんだから、同じ機種を同じものを入れているのであれば、こっちも市民のお金で買っているんですよ。
こっちも科学的根拠を求めるのは。当たり前じゃないですかということを言っているんです。
もうこれについては、ちょっと時間の関係で堂々めぐりで答弁結構ですけれども、とんでもない間違いを犯していると。
これについては先ほど件名1と同じように。これは行政も間違いを犯すというその事例になってしまいますよ。このままでいったら。
そうならないようにちゃんと対応していただきたいと思います

市職員の責任感の欠如

地方自治体が予算の執行を撤回したのは非常に大きな出来事です。
「なぜ撤回に至ったのか?」という反省から「類似案件はないか?」「再発防止に何ができるか?」という議論が望まれます。

しかし生涯学習部長の答弁は「選定時点では問題が報告されていなかったから、選定時点での判断は間違っていない」という、担当者個人の責任問題に矮小化されています。
市税を預かる側の責任感が微塵も感じられません。
これでは、同様の案件が容易に再発してしまうでしょう。

市職員による問題のすり替え

本件については浦安市長から「科学的根拠の確認ができなければ〜今回の導入は難しい」との答弁が出ています。
これを踏まえれば「科学的根拠のない装置が市民プラザに導入されていることは適切か」という検討が行われるのが自然に思えます。
メーカー側の「電磁波収束体」や「NMR工法」といった説明に全く根拠が示されなかったのですから、効果検証についても一旦白紙に戻して「根拠を求める」ことが必要です。
しかし、生涯学習部長は科学的根拠を求めるどころか「メーカー側に都合の良い説明」を全面的に受け入れているようです。
この答弁はいかにも不自然です。そもそも「科学的根拠がないのに、効果だけが確実という話はおかしい」という議論だったのに、いつのまにか主従が逆転して「効果があったと業者が言うので、科学的根拠は必要ない」という理屈にすり替えられているように見えます。

地方自治体の構造的な問題

数千万円の無駄な支出に、職員がここまで無関心であることに驚かされます。
これは浦安市だけの問題というより、現在の地方自治体が抱えている根本的な問題でしょう。
数年ごとに配置換えが行われ、トラブルを起こしても「リセット」されてしまうことや、職員に専門性が身につかないため「おざなり」な対応が常態化していることが根底にあると考えます。
さらに、人事評価が減点方式のため「高い業績を上げる」ことよりも「目立たない、ミスを犯さない」ことが重視されている側面もありそうです。
このため職員は次のような思考に陥っているのではないでしょうか。
「業者の不正を追及したくない」(追及するだけの専門性がない。業者からのスラップ訴訟が怖い。責任を負いたくない。異動まで問題を先送りしたい)
「他の職員の過去のミスを追及したくない」(仕返しが怖い。部署間の均衡を崩す。上層部の印象を悪くする。自分のミスを追及されたくない)

「自治体がニセ科学商品を導入してしまった」ことは、むしろ襟を正す機会ではないかと思います。
職員だけではどうしようもない問題なので、ぜひ首長が改革に乗り出していただきたいものです。