浦安市議会(3)

千葉県浦安市議会の12月議会において3回目のNMRパイプテクターに対する一般質問が行われました
前回9月議会では市長から「時間をかけて経過観察をする」と答弁があり、その後議員には「導入を棚上げする」と連絡があったとのことです。
これは「浦安文化会館」への導入を棚上げするという話なのですが、その後の調査で「市民プラザ」にはすでに設置されており代金も支払い済だという情報が入ってきたようです。
これを受けて再度、市長答弁の確認と、効果検証の適切さが質問されました。

議員質問

「パイプテクターの設置後の水質検査等にいま少し時間をかけて経過観察してまいりたいという風に考えております」という答弁をいただいたんですけども、それから、まあ2か月以上経っていますけれど、この、あの市長のご答弁の進捗状況。ご答弁の中身の進捗状況をお示しください。
検査をされたのであれば検査日時、方法、結果をお示しください。

生涯学習部長

パイプテクターを設置している文化会館と市民プラザでは、継続的に水質検査を行っております。えー、す、水質検査では水中の全鉄値を測定して行っております。
市民プラザでは設置前の水中の全鉄値は14mg/Lでしたが、9月14日の水質検査では1mg/Lまで減少しているところです。その後、市民プラザでは12月1日、文化会館では12月4日にそれぞれ採水を行い、現在水質検査機関に、えー検査を依頼しているところであります。

議員質問

その採水方法なんですけれども、それには、この関連する業者さんも立ち会ったんですか? その採水方法っていうのは、マニュアルというか、ちゃんとそういうものが公のですよ、この会社さんが提案するじゃなくて、いわゆる、これは科学の世界ですから、ちゃんとしたやり方ってあると思うんですよ。それに基づいてされたんですか?

生涯学習部長

はい、えー、検査方法につきましては、まず採水につきましては、えー・・・・・・・ JISの、えー010・・・ああ、JISの、えーゼロ・・・えーK0101という方法に従って検査を行っております。
えー採水につきましては、えー最初のす・・取水の時に、えー、淀み水をなくす形で一旦、えー、ある程度の水を流し、そのあとに水を大きな袋で採水し、そこからボトルで250mLあう・・・250ccのボトルに、えー、さい、えー、くみ取り、えー、それを検査場にさい・・・えー、提出しているということです。

議員質問

えーと、まあ検査結果の話も非常に問題だと思うんですけれど、まあ、そもそも論ですけれど、この機械は科学的な理屈は現段階では分かっていない商品です。それは間違いないですよね、認めていただけますよね。それはTVでこの社長が自ら言ってる訳ですから。
科学的な理屈も現段階では分かってない商品に多額の市民税を投入することは私は問題であると、ですから、ここで、あのー提案したいんですけども、現在、去年の11月23日のTV放送でこの社長さんが言った言葉そのものです。
「理屈はですね、証明がですね、これから色んな大学で今研究していますから、あのー、そのー」
って言っているんですよ。

色んな大学で証明中ですので、理屈が証明されてからこれを購入するかどうかを市は検討すべきだと思う。
それからあと、一つ。「色んな大学で研究している」と言う。どこの大学なのか? 大学名を市の責任を持って聞き出してください。よろしいですか?

私は理屈が、科学的な理屈がないと、証明ができていないと、この販売会社の社長自ら言っているものを市民の税金を投入して買うことも問題視して、それで、その、この商品そのものに、あの、学者から色んな批判が出ている。
何もなければね、私はここまでこだわらないんです。
あれだけ、あの、いろんなとこから「おかしい」と、あるいは、あの、9月議会でも言いましたように民間のマンション、あの、「知らぬ・・・」あの・・「あずかり知らぬ」という発言で答弁いただけなかった事例があるんですけれど、民間のマンションでは、あの、ものを介して返金までなっている。そういう問題が全国で発・・・出ている訳ですから、まず科学的な根拠、科学的な理屈、それを証明してもらってから買うようにしてください。
そうでなければ私も、あるいは、あの、この、動画を、あの、色んな市民の方たち見てくださっていると思うんですけれど、納得できないですよ。

あの、約2000万近いんですよね、市が出してきた数字だと。そんなものを、あの、
もうこれは単純な私の疑問でございますので、あの、もしこれで話を進めていたらば、黙っていないと思います。

生涯学習部長の回答は的外れで、この装置がなぜ問題視されるのか理解できていないか、理解したうえで「答えたくない」かのように見えます。

採取方法についての質問

例えば、議員が「採水方法」について尋ねているのに、生涯学習部長はJIS K0101という「試験方法(検査方法)」を答えています。
「採水方法」と「試験方法」は異なる概念です。販売業者による「採水」を問題視した質問であるのに、第三者機関による「試験」について答えたのでは質疑がかみ合っていません

なお、K0101では試料の採取について「JIS K 0094 工業用水・工場排水の試料採取方法」という別の書類に従うと書かれています。
生涯学習部長の答弁が「K0101(試験方法)についてのみ従った」という意味なのか、それとも「K0101から参照されているK0094(採取方法)にも従った」という意図なのかを判別することは難しく、再回答していただく必要性を強く感じます。

「K0094 試料採取方法」を見てみましょう。
浦安市の全鉄値の測定は、K0094の「4.1採水器による採取」に該当するようです。要点は次の通り。

  1. 一般に試料容器は新品を用いる
  2. 試料容器は採取場所の水で洗う(試験機関に送付する試料瓶)
  3. 採水器を採取場所の水で洗う(答弁中の「大きな袋」)
重要なのは試料容器と採水器を検水で洗ったかどうかでしょう。ここで採水器は、通常の「ひしゃく」や「バケツ」ではなく「大きな袋」という不自然な表現になっています。
仮に「大きな袋」を業者が持ち込み、採取前の洗浄も行っていないのであれば、袋に異物が混入していた可能性を排除できません。
「鉄分値が高かった」とする第1回採取で「大きな袋」を洗浄したのかどうかを明らかにしていただきたいものです。

「大学での研究」についての質問

時間切れで十分な質疑に至りませんでしたが、議員からの「大学で研究しているというなら、大学名を聞き出してください」という質問は興味深いです。
これまで販売会社は防錆効果の理論として「特許」「業界雑誌の記事」「学会での口頭発表」程度しか示せていません。
大学教員が関わった話としては、北海道大学の名誉教授が「インタビューに答えた」ものはありますが、この教授は実験結果を見ただけであり、理論面を補強するものではありません。
また、奥羽大学の元教授が「防錆装置に指を入れたら健康に良い」というにわかには信じがたい発表を行っています。これも、元教授は「理屈はわからない」と言っているので、根拠資料にはなりえません。
販売業者がかつて主張していた「NASAの技術」「東京大学の教授が承知している」という話が復活してくる可能性もあり、市側がどのように回答するのか次回答弁が楽しみです。

「赤錆の黒錆化」についての質問

今回の質疑には取り上げられていませんでしたが、販売業者が浦安市に提出した検査報告書には「赤錆が黒錆化された」との記載があるそうです。
しかし全鉄値を測定しただけで「黒錆化」を言えるはずがありません。また、横浜市水道局の詳細な実験では「赤錆の黒錆化は確認できなかった」と報告されています。
横浜市が実測して「確認できなかった」としている現象が、浦安市に対しては測定も行わず「黒錆化された」と書かれているのであれば許容してはいけないと思います。
「黒錆化をどのように測定したのか」を問い合わせ、測定していないのであれば報告書から該当箇所を削除させるなどの措置を期待するところです。